10月1日に格安SIMの速度をまとめて計測してみました。
今回は12種類の格安SIMをほぼ同時間帯で計測し、それぞれで確認できるようにしています。この計測結果によってある程度MVNO/格安SIMの現時点での実力というものがわかると思います。この実力を元にすれば、多数の契約が用意されているMVNO/格安SIMの中からどこを選べばいいか、という判断が下しやすくなると思います。
時間帯はどれも混雑している時間での測定をおこなったため、ほとんどの格安SIMが遅い速度結果を出しています。混んでいない時に計測するともっと速度は見映えの良いものになるかもしれませんが、見映えの良い速度を出しても実際に使う時に遅くては仕方ありません。なので今回の混雑している時間帯の計測のみでも十分に格安SIMの実力を計れると思います。
料金については考慮していません。MVNO/格安SIMと呼ばれているものなら、どれでも今はドコモなどの回線よりも確実に安いでしょうから、細かな料金を気にする必要はなく、速度だけを考える比較を今回は行っています。個人的な見解にはなりますが、料金は格安SIMという時点で安いのですから、そこはもう気にせずに速度がどれだけ出るかというところだけを比較に使ったほうが、必ず後悔はしません。
計測時間・計測スマホ等
MVNO/格安SIMの速度計測にはなるべく同じ時間帯でまとめて計測しています。計測する時間帯は「ピーク時間」と呼ばれるタイミングで計っています。この影響で、例えばIIJmioなんかは空いている時間帯との速度の乖離が激しくなり、遅い速度が検証結果として出てしまっています。ただ実利用を考えるとピーク時間の速度さえわかれば実効速度の判定は可能なため、あえて遅い時間帯での計測を中心としています。
計測時間 | 12:25分~12:55分、18:00~18:18、22:00~22:21の間 |
計測場所 | 東京都町田市、小田急町田駅徒歩10分圏内 |
利用端末 | GALAXY S5 SC-04F GALAXY Note edge SCL24 |
目安としては、
- 10Mbps以上:どんなネットも快適
- 5Mbps:動画視聴以外の標準的なネットが快適
- 3Mbps:快適ではあるものの、サイトの性質によっては読み込み時間が気になる。アプリダウンロードが遅く感じ始める
- 1Mbps:何度もWeb上を変遷していると、明らかに時間がかかっているのに気づき遅いと感じ始める
- 1Mbps以下:長く使えば使うほど、各アプリやサイトの読み込み時間がストレスとして蓄積してくる
こんな感じに速度の目安をつけてみました。MVNO/格安SIMは1Mbps以下になるSIMもザラにあるので、あまり贅沢は言わないまでも12時25分以降以外のピーク時間はせめて5Mbpsを超える速度が出てくれないと、毎日使う情報端末としての使い心地に難が出てくると思います。900円前後で使える安さを優先して、毎日微量とはいえ通信速度のストレスを貯めるのは長期的に見て賢い方法とは思えませんので、速度の良いものを選ぶようにしましょう。
それぞれの計測結果を今後随時追加していきます。それに伴いオススメとなる格安SIMの結論が変更になる可能性もありますがご了承ください。
本命格安SIM
IIJmio
IIJmio | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.54Mbps | 2.95Mbps | 4.53Mbps |
IIJmioはMVNO/格安SIMの業界の中で、最も評価の高いMVNOです。特に評判が良いのは、ユーザーへのサポート体制が非常に分厚いというところです。これは電話サポートなど直接的なものは含みませんが、ユーザー全般に向けてブログやメールでiOSやAndroidの新バージョンでの動作報告を検証したりと、他社がほとんど実施していないユーザーにとって非常に大事な部分の情報を伝えてくれています。
そのため、こうした情報に敏感なガジェット好きな人達から高い評価を得ています。
サービスでは繰り越しやバースト転送、それにプレフィックス通話などにも対応していますが、今は他のMVNOもこれとほぼ同等のサービスを行っており優位性はなくなっています。
ユーザーへのサポートには非常に定評はあるのですが、問題の速度は半年以上低速状態がつづいていて決して良いものではありません。朝方、昼を過ぎてから夕方ちょっと前までは良いのですが、昼と夕方以降の一番使うであろう時間帯では遅いと言わざるを得ません。
毎月定期的にMNO(キャリア)から通信帯域を購入し、速度が出るように増強しているようですが、評判が良いということを聞き付けたユーザーがそれを上回るペースで増えており、速度がいっこうに速くならないという状態が続いています。回線品質やサポート自体は良いので、長期的に考えて使うのならばオススメなMVNOですが、常に速度がほしいという場合には向いていないMVNO/格安SIMかもしれません。
mineo
mineo-d(docomo) | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 4.86Mbps | 5.58Mbps | 8.69Mbps |
mineo-a(au) | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.54Mbps | 3.38Mbps | 4.32Mbps |
mineoはdocomoとauの2つの回線を持つ非常に珍しいMVNO/格安SIMです。資金力のある電力会社の子会社であるケイオプティコムが運営しています。そのためかどうかはわかりませんが、他社がおざなりにしがちなユーザーサポートという点で、IIJmioの次に来るレベルで対応がしっかりしてます。
サービスも繰り越しやバースト転送は当たり前のように備えており、そこに更にmineoにしかないパケットギフトや家族割のサービスを用意して、docomo回線とau回線間のパケット受け渡しや他人へのパケット受け渡し、そして複数回線を持っている人達が割安になる豊富なサービスと機能があり、こうした側面ではIIJmio以上の存在感をすでに放っています。
速度はau回線もdocomo回線も、それほど速くなく、どちらかと言えば遅い部類には分けられます。ただ機能が充実していること、更に10月中の契約なら0円1GBSIM、100円3GBSIMといった激安データプランを契約できるようになっているため、100円前後で使える格安SIMとしては申し分ない速度と機能、品質を持ったMVNO/格安SIMです。
この10月中は他の格安SIMよりも契約に際してお得なところが山ほどあるため、「とりあえず」というレベルで格安SIMを使ってみようと計画しているならば、このmineoは料金が安すぎる割にそこそこ回線速度があるために強くオススメ出来ます。
10月中の契約ではイチオシのMVNO/格安SIMです。
UQ mobile
UQ mobile | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 10.11Mbps | 11.09Mbps | 8.73Mbps |
本気で格安SIMの回線で携帯電話を利用しようと思ったら、このUQ mobileは一番のオススメです。このMVNO/格安SIMは速度や回線品質が他社とは比べられないほどよくなっています。その理由の考察については以下の記事で行っています。
UQ mobileは「ほぼau」な速度と回線品質を持つ評判の良いMVNO/格安SIM | キャリスマ
要はUQ mobileというMVNOは「ほぼau」のMNO回線に近い性質を持っている超特殊なMVNOであり、それゆえに回線品質がMVNOなのに悪くならないという特徴があります。形態としてはSoftbankとY!mobileの関係に近いものがあり、準MNO的扱いにも関わらずMVNOの料金で使える回線です。
安くて良い回線が使えるという意味で、どんなMVNOですらこのレベルには届かない品質の良さを持っています。
使えるスマホがmineo共に少ないため、docomo回線を使ったMVNOよりも選べるスマホが限られていますが、今ならSCL23やHTL23が新品・中古共に安いため、これらを使えばセットで揃えても安くなります。
その他の回線の評価
DMM mobile
DMM mobile | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.35Mbps | 1.67Mbps | 3.36Mbps |
DMM mobileは元々のAPNがvmobileとなっていたことからもわかるように、IIJmioの回線設備を使った(MVNE元)回線となっているため、IIJmioの回線の調子に左右されます。
vmobileのAPNを持つのは他にhi-hoやexiciteBBなどがあります。
DMM mobileの最大の特徴は、IIJmioの回線品質が使えるのにMVNO最安値のプランで使えるという点です。DMM mobileは業界最安値をキープするために、他社が料金の安いプランを出して来たらすぐさまそれに対抗して安くする姿勢をとっています。
なので最も安い料金で使いたいならDMM mobileを選ぶのが一番わかりやすい選び方です。
問題の速度ですが、これはほぼIIJmioに近いレベルで推移しています。完全に同じ速度状況というわけではありませんが、時間帯ごとの速度推移はほぼ同じです。そのため、安くはあるものの遅いSIMという見方が出来ます。IIJmioと同じくこの状況が半年以上続いており、速度の改善策を行っていてもほとんど効果がでていません。
速度はまだ期待は出来なさそうです。
NifMo
NifMo | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.43Mbps | 2.22Mbps | 4.54Mbps |
かつては高速通信ができる格安SIMの定番であったのがniftyが運営するNifMoです。
3日間で通信できる容量が限られているため、その分これまで他社に比べて高速で通信で来ていましたが、10月からの速度は全体的に低速化してしまいました。
キャンペーンでこれまで積極的にキャッシュバックをしていましたが、今ではすべてのキャッシュバックキャンペーンを停止させてかなり抑えた運営をしているのが感じられます。この運営状況が回線増強に影響するようだと、今後しばらく遅い状態が続きそうです。
機能や各種サービスは非常に充実していましたが、一番の強みであった速度が低下したことによって、あえてこのNifMoを契約する理由というものはかなり薄くなってしまっています。
BIGLOBE LTE・3G
BIGLOBE LTE・3G | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.67Mbps | 17.80Mbps | 3.40Mbps |
かつては遅くて目立っていない存在だったBIGLOBE LTE・3Gが8月終わりの回線増強によって急激に速度が改善されました。
速度だけをみれば本命格安SIMの項目に入れてもいいかもしれません。キャンペーンでは最大10000円キャッシュバックなども用意されていて、契約すること自体は好意的な印象を受けます。
ただこの増強が行われる前はとても遅い時期が続いていたので、それを考えるとあと1、2ヶ月様子を見てから本命候補にいれたいと思います。速度自体はいいのですが、継続を考えるともうしばらく待ってからになります。
FREETEL
FREETEL | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 1.17Mbps | 1.94Mbps | 0.74Mbps |
評判は良いようですが、実測値ではかなり下のほうに位置する結果になりました。
ちょうどこの10月から全ユーザーが10GBのプランを298円で使えるキャンペーンが始まり、これまで使っていた人やこれから契約する人がデータ通信量を気にせずに使うことのできる期間になりました。これが影響して速度が落ちることが予想されましたが、それが10月1日から早々に影響を与えています。
速度はどの時間帯も良くなく、あまり今月は使いにくい回線と言えそうです。
OCNモバイルONE
OCNモバイルONE | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.72Mbps | 1.75Mbps | 0.81Mbps |
OCNモバイルONEはMVNO/格安SIMの中で一番シェアの大きい(2位はIIJmio)事業者ですが、速度においてはそのシェアの高さの影響か全体的に遅いという状態が続いています。
毎日データ通信量が復活する仕組みも関係していると思いますが、どの時間帯でも平均して遅い結果が出てきてしまっています。
シェアや評判の割りにかなり長い間速度の出ない状態が続き、それでいて評価が高めなままというのはちょっと不思議な存在と感じます。決して快適さのある速度とは言えないため、できれば別の格安SIMを選んだほうがいいでしょう。
楽天モバイル
楽天モバイル | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.77Mbps | 0.59Mbps | 0.46Mbps |
楽天モバイルはキャンペーンが定期的に行われ、事務手数料分のキャッシュバックやスマートフォンと音声データ回線がセットで半額にされたりと、色々な格安キャンペーンが行われていて契約自体はお得になる傾向が多いのですが、肝心の速度が今回の結果のようにあまりよくありません。
CMや広告には力を入れていますが、肝心の回線品質は悪いということで、長く使うには適さないような格安SIMです。
楽天ということで人気は高く、実際に格安SIMを「売る」能力は傍から見てても高いと感じます。一方で格安SIMを「運営」する能力は、動作確認情報などの共有すべき情報更新が遅かったりと、あまり褒められる内容にはありません。安くお得に使えるMVNOではありますが、決してそれが運営面で良さを出しているわけではないようです。
U-mobile
U-mobile | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 4.81Mbps | 1.39Mbps | 0.65Mbps |
今回のU-mobileはLTE使い放題プランの速度です。
使い放題の無制限プランとして考えると比較的マシな数字だと思います。
ただU-mobileのLTE使い放題プランは名前こそ使い放題としていますが、実際には3日で2GBの通信量を超えた場合に速度が低下する仕組みが設けられており、本当のところは使い放題ではありません。
なのでその仕様とこの速度を合わせて考えると、2000円以上する料金プランの割には合わないという評価が出来ると思います。無制限ではあるものの、あまりネットをしない人じゃないと制限に引っかかってしまうという何とも残念なMVNO/格安SIMです。
ぷららモバイルLTE
ぷららモバイルLTE | 12:25分以降 | 18時 | 22時 |
10/1 | 0.83Mbps | 0.41Mbps | 0.17Mbps |
一時期は非常に高い評価を受けていた無制限プランの代表格であったぷららモバイルLTEですが、今はもう完全に限界点を突破してしまったようで、まともにユーザーを捌ききれていない状態です。
この計測した時間帯以外にランダムで測ってると、時々0.1Mbpsも出ないようなときもあり、とてもじゃないですが常用できるレベルになく、2980円も払って使うものではないと言えます。
無制限ということで自宅回線の代替や動画視聴に適している、という期待を持つ人もいるかもしれませんが、残念ですがその期待は果たせないというのが実際のところのようです。
オススメは本命の中からmineoとUQ mobile
これからMVNO/格安SIMとの契約を予定している人は、今回の速度状況を一つの参考にしてみて欲しいと思っています。
MVNO/格安SIMの特徴としては契約をすぐに変えやすいのが特徴ではあるものの、契約のたびに事務手数料3000円がかかるため、そう簡単には別のMVNOへの交換は難しいでしょう。そうなるとなるべく長い期間速い回線が使えるMVNOとの契約をしておきたいところかと思います。
そこでこの速度結果とこれまでの実績から、長く速度が保って使いやすいオススメのSIMを選んでみたいと思います。すでに本命格安SIMと記事中で分けておいたように、IIJmioとmineoはかなりMVNOというサービスに対して本気で取り組んでおり、回線増強含めて信頼のおける会社です。そしてUQ mobileは「ほぼau」だと伝えた通り、その特殊性から速度が落ちる可能性が一番低いMVNOです。この3社から選ぶのがこれから長くMVNO/格安SIMを使おうと思ったときにオススメです。
その中でも速度が今のところ良いmineoのDプランと、auだったらUQ mobileが特にオススメです。10月からしばらくの間はこの2つがそれぞれの通信方法から選ぶベストに近いMVNOだと思います。
mineoのDプランは比較的速度がありながら、10月31日までに契約すれば6ヶ月間800円引きにすることが出来ます。つまりこの期間に契約すればMVNO最安値の回線を契約することが出来ます。UQ mobileは文句の付けようのない回線品質のため、もしも今auを使っている人はこのSIMに乗り換えるとスマホを変えずにそのままで料金を安く出来ます(ただしLTE対応のスマホのみ)。
あと1ヶ月!格安SIM最安値を更新する「mineo」の激安キャンペーンを逃すな! | キャリスマ
ということでこの速度状況を考慮して考えると、IIJmioとmineoのAプラン・Dプラン、UQ mobileという4つの非常に信頼おける回線の中から、mineoのDプランとUQ mobileという2つのMVNO/格安SIMがオススメ回線として挙げられます。
是非ともこれからメイン回線のMNPや2台持ちでガラケーと合わせて使ってみようとしている人は、10月中はこの2つの回線を契約するようにしましょう。
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