MVNO/格安SIMは携帯電話、特にスマートフォンにおけるデータ通信にかかる料金を安くしてくれるため、あまり通話をせずにネットでの利用がスマホの使い道として中心的だという人々にとっては、スマホの月額料金を劇的に安くすることの出来る契約になる可能性があります。
しかしMVNO/格安SIMは料金が安いというメリットがある代わりに、通信速度に安定性を欠き、時間帯など通信するタイミングによって極端に使い勝手が異なる非常に不安定な通信環境での利用をせざるをえません。これはMVNOの性質上仕方のないことで、「安い代わりに回線品質(速度やその安定性のまとめ)が悪い」という問題と付き合って使っていかなければいけません。
この回線品質の悪さというのはMVNO/格安SIMを使うユーザーが最も不満に思っている点であり、この品質が悪い回線事業者は悪評がたちやすくなっています。品質が悪いとされているMVNOは解約率も高く、安さを求めて乗り換えてきたユーザーが、料金を度外視して再びMNO(4つの大手キャリア)に戻るということも起きています。
まともにMVNO/格安SIMを使おうとしたら、この品質の悪さを覚悟するかもしくは品質の良いMVNO/格安SIMを選ぶかしないと、料金を安くしながら使いやすい回線というものは得られません。
ただ残念なことに、今のMVNO/格安SIMはどの事業者も「回線品質」が良いという評判が生まれても、それは一時的なもので数ヵ月経過して人が増えてくると品質が劣化してくるという流れを辿っています。最たる例はIIJmioの凋落でしょう。2015年3月ごろまで契約するなら鉄板的な扱いを受けていた人気MVNOですが、2015年4月以降は速度が非常に遅くなってユーザーからの不満が集まり評価は下がる一方です。
このため、MVNO/格安SIMはどの事業者のものを契約しても、人気や評判が高まってくるとそれに比例して速度が落ち、全体の回線品質や使いやすさという点で劣化してしまうものです。なのでMVNO/格安SIMにおいて恒常的な快適な通信環境というのは実現が難しくなっています。MVNO/格安SIMでスマホのデータ通信料は安くなりますが、通話料や通信の安定性や速度といった部分は値段なりの質になってしまいます。
ただこうしたMVNO/格安SIMにつきまとうデメリットである「品質劣化」を、これまでずっと避けていてこれからも品質が劣化しない可能性のあるMVNOというのが一つだけ存在しています。そのMVNO/格安SIMについてを理由とともに今回は紹介したいと思います。品質の劣化が他社のMVNOに比べても可能性として低く、安定した高速通信をこれからも使えるであろう「UQ mobile」について、その理由と中身を見ていきましょう。
UQ mobileとは
それではまずUQ mobileがどのような格安SIMなのかを説明しましょう。
UQ mobileはKDDI網を使用したMVNOです。KDDI網、つまりauの回線を使ったMVNOということになります。2015年9月現在、このau回線を使ったMVNOというのはUQ mobileの他にはmineo(マイネオ)というMVNO事業者しか扱っていません。いわゆる一般的に知られているMVNO事業者が使っているdocomo網の回線ではありません。
docomo網を使ったMVNOだと、「SIMフリースマホ」と組み合わせた格安スマホ運用ができるということで話題になっていますが、UQ mobileはKDDI網ということで、通信規格および技適等の影響でUQ mobileでSIMフリースマホを使って通信も通話もすることはまず出来ません。
というわけでUQ mobileというMVNO/格安SIMは、普通のSIMフリースマホでは通信できないためにauの白ロムなどの限定された対応機種でないと通信できません。よく雑誌やネットなどでされる格安SIM・格安スマホのお得な運用特集は、UQ mobileに限ってはその特殊性から当てはめることができないということを確認しておいてください。
UQ mobile | 高速3GBプラン | 無制限500kbps |
---|---|---|
データプラン | 980円 | 1980円 |
データ+音声プラン | 1680円 | 2680円 |
プランを見るとUQ mobileはお世辞にも豊富とは言えません。データ通信量は3GBか無制限かという2つだけしかなく、無制限プランは上限速度が500kbpsに制限されています。
他社に比べるとプランの豊富さもありませんし、お得なキャンペーンの類いもありません。情報発信もそれほど行っていません。また前述したようにauの回線を使っているため、セットにできるスマホが限られていて、他社のMVNOに比べるとユーザビリティは良くありません。
それでもこのUQ mobileが高い評価を得ていて、その評価がこれからも続きそうだという理由は、回線速度が長期間好調であり、それでいながらその好調が落ちないであろうMVNO事業社としての特殊性があります。それを以下で説明していきましょう。
UQ mobileは高速通信をサービス開始時から常時維持
UQ mobileはプランやキャンペーンには全く特色も特別な魅力もありません。
ただし通信速度や回線品質といった、毎日使う際に一番重要になってくる点については他社とは比較にならないほどの高速回線を長期間維持しています。この「長期間維持」というのが他のMVNOが無理な部分です。短期的に高速な時期というのはどのMVNOでも実現させていますが、それを継続させるには至っていません。どこのMVNOも人が増えて速度が遅くなります。
UQ mobileはこれがありません。今はかなり評判が広まって人が増えているにも関わらず、速度は毎月非常に安定した「高速」状態を続けています。サービスを開始した時からほぼ速度が落ちることなく維持しており、数多くのMVNOがある中でも突出して回線品質の良いMVNOという位置付けがされています。
速度の安定性という点に関してはもはやMVNOでは敵う相手がおらず、むしろ比較すべきはキャリアの回線の速度や安定感とのほうが勝負になるといったレベルです。それだけUQ mobileは数あるMVNO/格安SIMの中でも突出して高速通信が可能な上に安定している回線です。
UQ mobileは「ほぼau」
こうした速度の安定した継続というのを、何故MVNOの中でUQ mobileだけが実現できているのかというと、それはこのMVNOがMVNOとしては非常に特殊な存在であり、事業者としての実態が「ほぼau」という点にあります。
「ほぼau」が運営しているMVNO故に、回線速度が極端に落ちることはなく、それでいて最高速度が時にキャリア回線に匹敵する実効速度を記録していると考えられます。 この「ほぼau」であるという正確な根拠はありませんが、以下の内容から「ほぼau」であることが伺えます。
運営会社
「ほぼau」と言える根拠のひとつは、これまでの運営企業がどれもKDDI資本の入った会社だという点です。
初期のKDDIバリューイネイブラー、そしてそこから引き継いだUQ WiMAXと、いずれもKDDIが親会社・メイン株主という特徴のある企業で、端的に言えばKDDIの子会社がau回線のMVNOをしている状況になっています。 MVNOの公平な競争のために、子会社だから速度や回線品質が安定するよう優遇を受けている、ということは本来ありえないものと思われますが、UQ mobileのこれまでの速度の出方や安定の仕方は、何らかの優遇を感じさせる内容になっています。
何かしらそういった関係性が公表されているわけではありませんが、今のUQ mobileの異常すぎるほどの回線品質の良さは、ある程度察せられる措置がされている可能性が高いでしょう。
接続経路
次はとあるTwitterユーザーがiPhoneで実験した内容の転載なのですが、これを見るとやはりUQ mobile回線は「ほぼau」と言える状態であるのは間違いなさそうです。
UQmobileとauiPhone6(本家)のトレースルートをとってみた。 本家とほぼ一緒な結果に。 pic.twitter.com/X3oJltkDqA
— Naoki Mukai (@jinguji1) 2015, 9月 23
au回線とUQ mobile回線がどのような接続経路を通るかというのを調べてあり、これがほぼauに近い経路を通っているという内容です。
これを見る限りUQ mobileの速度の秘密というのも納得できるようになり、「ほぼau」ではないかという点においてまた一つ根拠のようなものが追加されました。
メールアドレス
最後は若干根拠としては薄いかもしれませんが、他社MVNO/格安SIMとは明らかな違いのある点にも触れておきます。
それはUQ mobileのメールアドレス・ドメイン(@uqmobile.jp)が何故かキャリアメールと認識されているということです。
docomoなどのキャリアでは迷惑メールのブロック機能の強化に、PCメールを排除するという機能が含まれています。これによって通常MVNOが提供しているメールアドレス(@ocnや@mineoなどから始まるもの)はブロッキングされてキャリア回線を使っている人たちにメールが送りづらくなっています。
UQ mobileも独自のメールアドレスを用意して、それによるメールサービスを提供していますが、本来であればPCメール扱いですからこのキャリアのブロッキングに引っ掛かるはずです。ところが何故かMVNOの中でもUQ mobileのメールサービスだけは、auのキャリアメールと同じ位置付けになっていて、キャリアメールとして認識されることでブロッキングをスルーすることができます。
docomoのHPではキャリアメールとして扱うメールアドレスの一覧を載せていますが、UQ mobileだけが唯一MVNOのメールアドレスの中でもキャリアメール扱いをされています。
この要因となっているのも、先程から説明している「ほぼau」という特殊な状態と関係していることが予想されます。
特殊なMVNOであり、品質が悪くなる可能性が一番低くて安心できる格安SIM
以上のようにUQ mobileはその特殊さ故に「ほぼau」というキャリア回線に非常に近い性質を持ったMVNO/格安SIMです。
この性質ゆえかどうかは不明ですが、これまで速度が非常に高い状態というのを数多くのMVNO/格安SIMの中でも唯一といっていいクオリティで維持してきており、この性質がそれに影響を与えているようならこれからも速度は安定して回線品質の良い状態が続けられそうです。
速度や安定性、使いやすさの部分が追及できないというのは常にMVNO/格安SIM回線にまとわりつく負の要素です。こうした点はネット目的にスマホを持っている人ほど影響が強いため、料金を安くするという目的のために通信環境を悪くしてしまうと、長期的に見て後悔する可能性が高いです。
そんな中でもUQ mobileはMVNO/格安SIMの中でもその出自の特殊性やこれまでの実績により、「安いのに回線品質が良い」ことが期待されるMVNO/格安SIMです。
料金を安くしつつ尚且つ速度を維持してくれる唯一のMVNO回線として、本格的にMVNO/格安SIMの利用をしようとするならUQ mobile以上の回線品質を持った回線はありません。もしもau回線のMVNOでも良いというのなら、UQ mobileを選んでおけばMVNO/格安SIMでありがちな不満というのを避けることが出来るため、本格的にMVNO/格安SIMを使う人に本気でオススメできるMVNO事業者です。
品質・安心感重視ならUQ mobileです。
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